お役立ちコラム

「会社のデータを保存した私物のパソコン、スマートフォン(電子端末)を会社が調査できるか」の考え方と判例

事業者が保存している個人情報は、会社が法律に従い安全に管理することを条件に、取引先や顧客、従業者などから預かっている情報資産です。管理責任は事業者にあるため、従業者が勝手に私物に保存することは許されません。今回は、私物保存した可能性がある場合の対処について考えてみました。

平時の対応

私物に対して、情報を移転できないような仕組みを作っておく。

  • 社内規則、職場での私物使用の制限、監視、システム的な制限など。
  • 私物への情報の移転自体が、許されないことを従業員に周知しておく。
  • 教育の場を設けしっかり説明する。
  • 万一、私物への情報の移転が行われた可能性がある場合は、その私物の提出を求めうるとしておく。
  • あらかじめ従業者から同意書を取っておく。
  • 同意書があるから何でもできる、というのではなく、私物の調査があることを理解したかの確認の意味で同意書を取っておく。

従業員による企業秩序違反の嫌疑がある場合の対応

  • 当該従業員から調査権行使への同意を取得する。
  • 従業員が調査権行使について同意しない場合の対応
  • 調査権行使に応じないことを理由とする懲戒処分を科す。
  • 刑事手続きによる対応の可能性を検討する。

法律の考え方

  • 最高裁判例では「管理職に対してはできる」としています。
  • 一般従業者は「調査に協力することが労務提供義務を履行する上で必要かつ合理的であると認められない限り、調査協力義務を負うことはない」としました。

拒否された場合

  • 会社の機密情報が持ち出された場合であって、従業員側の同意も見込まれないときには、問題となっている事案が何らかの刑事処分を受けうるものであるかを検討し、刑事手続きによる対応を検討する。
  • 「刑事手続きによる対応」とは、一般的には弁護士を指しますが、すでに犯罪が起きていると確信する場合は、警察に相談するということも含みます。
    平時にできることは、同様の事例を研究しておくことですね。
  • さらに、内規や同意書を得ている「調査に協力する義務がある」とされる場合には、それに応じないことを理由とする懲戒をなすことも検討しておきます。懲戒処分にはしっかりした証明と手続きがひつようなので、事前準備をしておく必要があります。

すでに退職してしまった場合

  • すでに犯罪が起きていると確信する場合は、弁護士または警察に相談するということも含みます。

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